大嫌いの裏側で恋をする

しかし、私の決意を阻止するかのように鞄の中でスマホが震えた。

見ると登録されていない番号からの着信。

手にしてた定期を鞄に入れ、改札から離れた。

そして、誰だろう、と通話ボタンをタップし耳元にあてる。

『帰った後に悪い、俺』

ぼやけた頭が弾けるように回転を始める。

ついさっきまで聞いてた声だ。

緊張からだろうか、喉が震えて小さな声しか出ない。

「えっと……また私なんかしちゃいましたか」

『ああ、違う。 あと吉川に番号聞いた、それも悪いな』

いいえ、大丈夫です。 と答えながら切符売り場の柱にもたれかかった。

『週明け直行だから車なんだよ、帰り。お前が調子悪そうだったから送って行けって」

思いがけない言葉に私は息を詰まらせるようにして、小さく疑問の声を上げた。

「吉川さんは一緒ですか?」

『あ? 帰ったぞ。 また今度誘い直すって』

「え、うそ!? す、すみません」

高瀬さんの恋路を邪魔してしまったようで多方面から苦しくなる。

『? いや、別にいい。 とりあえず話もあるから行く。 どこにいる?』

駅前にいますと、答えると愛想なくすぐに電話は切れた。

高瀬さんの話の内容は間違いなく今回の私へのダメ出しだと思うから、気持ちは重くなるばっかりだけど。
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