大嫌いの裏側で恋をする
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「ええ~、あたしこんなの全然わからないです~」
間宮香織が、うちの課にきて3日目。
「え? 難しかった? じゃあこっちのコピーお願いしようかなぁ?」
「あ、はぁい。 それならわかります~」
私の正面の席にいる営業の男の子は、確か間宮さんと同じ歳の24歳で。
もう見るからにデレッデレなので。
別にどうでもいいといえば、いいんだけど。
その隣。
私の斜め前にいる、この支店で一番の古株。
ベテラン事務員の田代さんの眉がピクピク動いてるのがわかって恐ろしい。
本来は田代さんから指示をもらうのが一応正しいはずなんだけど。
その田代さんが担当するうちの課の若い営業さんたち2人は、そりゃもう嬉しそうに間宮さんに直接アレコレお願いしに行くから。
(とばっちりこなきゃいいんだけど……)
異動してきたころから、田代さんとはそんなにうまくいってない私。
ひっそり我が身を案じていた。
「ねぇ、俊平く~ん! 俊平くんは、あたしになにか仕事、くれないのぉ?」
来た。
今度は高瀬さんの背後にピタリとくっついた間宮香織。
この3日、外出が少な目の高瀬さんのそばに暇さえあれば寄ってきてるんだけど。