mimic
ふたりの会話を聞いていて、さすがのわたしにも話が飲み込めてきた。
「あの、す、すみませんでした……」
なんだかすごく申し訳なく思えて来て、小さな声で謝ると、「小夏ちゃんのせいじゃないよ」海月が穏やかな声で囁いた。
「……いえ、こちらこそ、きちんと説明もないまま引き離すようなことをしてしまい、すみませんでした。契約など期限が差し迫ったものもあり、社長にはどうしても早急に対処してもらいたかったものですから」
えっ、と。
じゃああの、海月に言っていた〝裏切った〟とか、〝約束守れ〟とか。
あれって、仕事の件だったんだ。
「真面目すぎるんだよ、星香は」
呆れたように息を吐き、わたしの手を両手で握るような格好に変えた海月は、窓の外の夜の風景に目をやった。
「妹なんだ」
「っ、へ⁉︎ でも、名字が……」
さっき居酒屋で、矢崎、って名乗らなかった?
「既婚ですので」
星香さんは、わたしの疑問にきっぱりした口調で返した。
「妹は親父にそっくり、俺は母親似。性格も。星香の方が経営者に向いてるかもなぁ。俺の至らない分サポートしてくれてるんだけど、なんかこう、馬鹿に真面目すぎて」
「馬鹿⁉︎ っていうか、海月が不真面目すぎだから! 連絡も取れなくなるし約束は反故にするし。至らない部分はその、すべてに悠揚なところだけじゃないのよ⁉︎ 先日は一部の酒販会社との取引をうちの式場、ホテル、レストランすべてで中止すると言ってみたり。その気まぐれでもう私を困らせないで!」
強くなる語尾に合わせ、星香さんはブレーキをぎゅっと踏み込んだ。
気がつくともう、うちの目の前に到着していて、わたしは目をぱちくりさせる。
「あの、す、すみませんでした……」
なんだかすごく申し訳なく思えて来て、小さな声で謝ると、「小夏ちゃんのせいじゃないよ」海月が穏やかな声で囁いた。
「……いえ、こちらこそ、きちんと説明もないまま引き離すようなことをしてしまい、すみませんでした。契約など期限が差し迫ったものもあり、社長にはどうしても早急に対処してもらいたかったものですから」
えっ、と。
じゃああの、海月に言っていた〝裏切った〟とか、〝約束守れ〟とか。
あれって、仕事の件だったんだ。
「真面目すぎるんだよ、星香は」
呆れたように息を吐き、わたしの手を両手で握るような格好に変えた海月は、窓の外の夜の風景に目をやった。
「妹なんだ」
「っ、へ⁉︎ でも、名字が……」
さっき居酒屋で、矢崎、って名乗らなかった?
「既婚ですので」
星香さんは、わたしの疑問にきっぱりした口調で返した。
「妹は親父にそっくり、俺は母親似。性格も。星香の方が経営者に向いてるかもなぁ。俺の至らない分サポートしてくれてるんだけど、なんかこう、馬鹿に真面目すぎて」
「馬鹿⁉︎ っていうか、海月が不真面目すぎだから! 連絡も取れなくなるし約束は反故にするし。至らない部分はその、すべてに悠揚なところだけじゃないのよ⁉︎ 先日は一部の酒販会社との取引をうちの式場、ホテル、レストランすべてで中止すると言ってみたり。その気まぐれでもう私を困らせないで!」
強くなる語尾に合わせ、星香さんはブレーキをぎゅっと踏み込んだ。
気がつくともう、うちの目の前に到着していて、わたしは目をぱちくりさせる。