mimic
ぎゅうっときつく、わたしの体を抱きしめる。身じろぎできない、一生剥がれないんじゃないかと思うくらいの密着度。
海月の肌の匂いがして、体の奥がずん、と疼いた。


「わたしも、会いたかったんだよ……?」
「煽るのが上手いなぁ」


指先で背中を引っ掻くと、ハッと息を吐き、海月は弱ったように片目をすがめる。


「あ、煽るとかじゃなくって……。もう自分の好きにする、って言ったのは、別れるって意味だと思ったの」


恥ずかしくて、わたしは海月の胸に顔を埋めて言ったので、くぐもった声になる。


「まさか。他の男を引きずってるとこ、見たくないんだって、俺」
「ひ、引きずってないしっ! 唯ちゃんのことなんて」
「名前も出さないで。聞きたくない」


冷たい声で言下に答え、一拍間を置いて海月は、わたしのうなじ辺りに顔をうずめた。


「どんどん強欲になって、小夏ちゃんのこと独占したくて仕方ないこっちの身にもなってよ」
「……っみ、つき……」
「そんで俺、もしフラれでもしたら、小夏ちゃんのこと大好きだから未練タラタラだよね。超引きずるよ」


そんな泣きそうな声で言わないでよ。
好きすぎてるんだって。わたしのほうが。


「そんな、あり得ないよ。……だって、わたし海月のこと、」


大きな手のひらで、海月はわたしの頬を包み込んだ。眉根を寄せた表情が、際限なくいとおしい。
額を合わせ、お互いの呼吸や、体温や心音や存在や愛を、確認するように見つめ合う。

すごく胸がいっぱいで、泣きそうで、目が潤む。


「大好き、なんだよ?」
「……ヤバい。」
「……?」
「なにそれ、その可愛さわざとなの? 参ったなぁ」


指の関節で、海月はわたしの顎をクイッと持ち上げた。
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