mimic
「__ところで、海月って何歳なの?」
行為のあと、わたしたちは隣の和室から持ってきた毛布をまとい、寄り添ってソファに座った。
外では雨はすっかり止み、窓際に月明かりが差し込んでいる。
「え。なんで?」
「だって、大きな会社継いだんでしょ? お父様がご勇退なさったってことは……」
見た目がかなり若く見えるから、わたしよりすこし上かなぁ、ってくらいにしか思ってなかったけど。三十はいってるのかも。さすがに社長だし……。
わたしが訝しげな顔で見上げると、直接口をつけて飲んでいた水のペットボトルをテーブルに置き、海月はことも無げに言った。
「もうすぐ四十かな」
「え‼︎」
「……そんな驚く? 四捨五入すれば、だけど」
「わ、若い! 全然見えないよ! 同じくらいかと……」
「うん、若いよ」
「え……それ、自分で言う?」
「小夏ちゃんが先に言ったんでしょ」
起伏なく言った海月は、わたしのこめかみあたりにちゅっとキスすると、両脇に手を入れて軽々と上半身を持ち上げた。
「へっ⁉︎ ちょ、ちょっと……」
「だからその、身体がもしキツくなかったら」
そして、わたしを太ももに座らせ、見つめ合う体勢で小首を傾げる。
「もう一回したいな」
「っ、は⁉︎ え、だって、今……!」
困惑するわたしを気遣う様子は露ほどもなく、海月は胸を両手ですくい上げ、傷あとに唇を寄せている。
もうわたしが阻止する余地などないし、阻止する術も浮かばない。