夏のソラの雪
「そうよっ。泰希にベタベタくっついたら怒るよ。真雪」




知海が真顔で言う冗談は、迫力がある……。




俺も真雪も呆然と知海を見つめる中で、




「ほらっ。行くぞ」




真雪の手を握って踵を返した愛与の表情には、




何故かうっすら笑みが浮かべられていたように見えたのは……気のせいか?





「ねぇ、なんで知海が怒るの?」




愛与に手を引かれながら、真雪が不思議そうに首を傾げている。




そんな後ろ姿を見送りながら、ゆっくり戻した視線に、




じっと俺を見つめる知海が映った。





なんだろう……。




この言い知れぬ緊張感は……。




「泰希は?」



「えっ?」



「わたしが他の男の子と仲良くしてても平気?」




なんでこんな流れになったんだ……?




完全に目の泳いでる俺を、知海は捉えて離さない。





「わたしがこっちの大学、わざわざ受験した理由わかる?」




「それは、真雪が……」




真雪が愛与と同じ大学に行くって言うから、




真雪の様子を見る為だって……。



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