夏のソラの雪





二限目休講の貼り紙を見て、




適当に食堂で時間を潰していた。




正面には、レポートをまとめる知海がテーブルの上でペンを走らせている。




何組かの女子たちが端っこの方で談笑してるだけで、




さすがに二限目から何か食ってる奴も居ない。





一緒に居るのに何にも言葉を交わさない知海も、それはそれで落ち着く。




差し込む日差しもちょうど良くて、居心地が良い。




穏やかな空気だなぁ……。




頬杖ついて、不意に窓の外に目を向ければ、




「……あっ」




ガラス越しに、何やら言い合いをする……見慣れた顔があった。




並んで歩いていた二人は、




俺と目が合うなり……早足でこちらに向かってきて、




「ねぇ! 泰希は知海のこと好きっ?」




勢い良くテーブルについた真雪が、俺に詰め寄って問い掛けてくる。




唐突にされた質問に、俺も知海もただ唖然と顔を見合わせるばかり。




「だから……やめろって言ってんだろ」




呆れたように真雪を見下ろしてため息をついてる愛与に、




「愛与は黙っててよっ」




真雪は唇を尖らせた。
< 99 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop