冷徹騎士団長の淑女教育
腕を組んだアイヴァンがクレアを見下ろし、冗談半分な口調で言った。

身に覚えのあるクレアは、決まずい思いをしながら少女からそっと腕を離した。

だが今のアイヴァンは、クレアを咎める風ではなく、いつになく優しい眼差しをしている。

「これから昼食ですので、良かったら一緒に食べて行ってくださいな」

そこでエリスが朗らかに誘いの声をかけ、二人は子供たちに手を引っ張られるようにして食卓につく。すぐに、和気あいあいとした昼食が始まった。

焼き立てのパンに、野菜のスープ、搾りたての牛乳。食事は質素なものだったが、栄養たっぷりで、子供たちは皆美味しそうに食べている。

大勢で食べるのは、久しぶりだ。それに、すぐ傍らにはアイヴァンもいる。クレアは心からの幸福を感じていた。




昼食後、クレアは子供たちとともに穏やかな時間を過ごした。

絵本を読み聞かせ、女の子たちの髪を編み込み、一緒に縫い物をした。読み書きをみたり、ダンスのステップを教えたりもした。

孤児のクレアに兄弟はいない。こんな風に子供たちと賑やかに過ごすことに、ずっと憧れをいだいていた。だから時が経つのはあっという間で、気づけば窓の外が茜色に染まっていた。

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