冷徹騎士団長の淑女教育
いくら王女といえども、アイヴァンにとって、少女という存在は未知以外の何ものでもなかった。

どう接すればいいのか、どう声をかければいいのか、試行錯誤を繰り返す日々。

『子供の御守りはもうごめんだ』と訴えたこともあったが、ハワードは笑って受け流し聞き入れてはくれなかった。



だがともに過ごすにつれ、アイヴァンの中でクレアの存在は姿を変えていった。

彼女の笑顔を見ると、ほっと心が和んだ。

別宅へと馬車を走らせながら、早く彼女に会いたいと気が急くようになった。

彼女の拗ねた顔を、かわいいと思って何度も見てしまったこともある。




クレアをアイヴァンの別宅にかくまうようになって一年が過ぎた頃、彼女が姿をくらましたことがあった。

必死になって彼女の行方を追いながら、アイヴァンは王女である彼女を失った焦りよりも、純粋に彼女の身を案じている自分に気づいた。

小さな少女は、次第にアイヴァンの中で他の何ものにも代えがたい存在となっていく。

そしてクレアが年々女らしく嫋やかに成長していくにつれ、その気持ちは愛情へと変化していった。
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