冷徹騎士団長の淑女教育
「シャーロット、よくぞ無事でいたな……!」

王の間で謁見するなり、ハワードは玉座から立ち上がり、生き別れとなっていた娘をその胸に強く抱きしめた。

「ああ、顔をよく見せておくれ。なるほど、私によく似ている……。だがその凛とした眼差しは、サラにそっくりだ……」

サラというのは、ハワードが幼い頃から恋焦がれていた乳母兄弟、つまりクレアの母のことだった。

クレアは、年甲斐もなく幼子のように涙で濡れた父の顔を、穏やかに見つめ返した。



初めて彼を見たのは、城の廊下に飾られた肖像画でだった。

初めて見る彼の姿に、心の奥がなぜかザワザワとしたのを覚えていりる。

今にして思えば、あれは彼が血のつながった人間である直感だったのだろう。

「お父様。お会いできて、光栄です」

取り乱す父とは真逆に、腰を落とし、敬服の挨拶をするクレア。

王女としての自覚に目覚めた今、クレアはあらん限りの力で凛とした姿勢を貫くつもりだった。

(誰からも認められる王女に、必ずなってみせるわ)

アイヴァンに再び会うその日まで、彼に今まで教わったことを胸に、自分を変えようとクレアは心の中で誓ったのだった。
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