冷徹騎士団長の淑女教育
溢れた涙が頬を滑り落ちる前に、慌てて腕で拭う。

「もう、こんな毎日は嫌です……」

気づけばクレアは、椅子に座るアイヴァンをそのままに、部屋を飛び出していた。

「クレア様!? どこへ!?」

階段を降りて玄関に向け全速力で駆ければ、レイチェルの叫び声が背後から聞こえてきた。

クレアはそれを振り払うように玄関の外に飛び出すと、庭園を走り抜け、門の向こうへと出て行った。



見知らぬ土地をあてどもなく彷徨ううちに、空には雲が立ち込め、雨が降りはじめた。

「ひっく、ひっく」

濡れるのも厭わずに泣きじゃくりながら歩く少女を、道行く人々が不思議そうに目で追っている。

たまらなくなったクレアは、人目を避けるように木陰に隠れながら、先へ先へと移動した。
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