冷徹騎士団長の淑女教育
「ど、どうしてそんなところに……?」
「君に会いたくなったから」
妖艶に笑うと、エリックは身を起こし、今にも飛び降りそうな体勢に変わった。
「駄目よ、そんなところから飛び降りたら、怪我をしてしまうわ……!」
クレアは真っ青になったが、エリックは構うことなく飛び上がった。咄嗟にクレアは、両目を両手で覆っていた。
ドサッと、重いものが地面にぶつかる音がする。
物音ひとつしない。エリックは、気絶してしまったのだろうか。
この別宅の外壁は、他の邸の壁よりも高めに作られており、よじ登るのも飛び降りるのも並みの人間ではひと苦労だ。
おそるおそる、両手で顔を覆ったままクレアは目を開ける。
すると指の隙間の向こう、緑の芝の上で、今にも笑い出しそうな表情でこちらを見ているエリックと目が合った。
「こう見えても、運動神経はいい方なんだ」
クレアは、ゆっくりと目元から手を下した。
「良かった……。怪我はしていない?」
「うん、大丈夫」
ホッと安心したところで、クレアは改めて我に返った。他人と関わってはいけないというアイヴァンとの約束を、また破ったことに気づいたからだ。
それに、エリックもどうかしている。あんな高さの塀から飛び降りるのも間違っているが、そもそも他人の邸の庭に勝手に侵入するなんて、どう考えてもおかしい。
「君に会いたくなったから」
妖艶に笑うと、エリックは身を起こし、今にも飛び降りそうな体勢に変わった。
「駄目よ、そんなところから飛び降りたら、怪我をしてしまうわ……!」
クレアは真っ青になったが、エリックは構うことなく飛び上がった。咄嗟にクレアは、両目を両手で覆っていた。
ドサッと、重いものが地面にぶつかる音がする。
物音ひとつしない。エリックは、気絶してしまったのだろうか。
この別宅の外壁は、他の邸の壁よりも高めに作られており、よじ登るのも飛び降りるのも並みの人間ではひと苦労だ。
おそるおそる、両手で顔を覆ったままクレアは目を開ける。
すると指の隙間の向こう、緑の芝の上で、今にも笑い出しそうな表情でこちらを見ているエリックと目が合った。
「こう見えても、運動神経はいい方なんだ」
クレアは、ゆっくりと目元から手を下した。
「良かった……。怪我はしていない?」
「うん、大丈夫」
ホッと安心したところで、クレアは改めて我に返った。他人と関わってはいけないというアイヴァンとの約束を、また破ったことに気づいたからだ。
それに、エリックもどうかしている。あんな高さの塀から飛び降りるのも間違っているが、そもそも他人の邸の庭に勝手に侵入するなんて、どう考えてもおかしい。