君等の遺した最後の手紙は。(仮)
「あ、未侑 今日は体育会実行委員ないらしいから部活行けるぞ、やったな」
掃除時間も終わり、いよいよ帰りのホームルームという所で希翔君にそう話しかけられる。ほんの少し白い歯が出ていてカッコイイ。爽やか。
「う、うん!ぁ…ありがとぉ…」
ーーすき。その言葉が頭を過ぎり、吃ってしまう。
段々頭にまで血が巡り、あつくなって顔が火照る。
「…?顔赤いけど大丈夫か??」
「え、あ!うん!大丈夫!!」
焦って答える。心配かけたくない。

やばい。ときめく。

「そか。じゃあまた部活な。」
「ぅ…うん…」

甘くて酸っぱくて、だけどすきっとしたオレンジキャンディーみたいな感覚。ほっぺたがとろけ落ちちゃいそうなくらい美味しい。

あぁ、こんなに美味しいものならとっとと味わっておけばよかった。
その場でちょっぴり微笑んでしまう。
「ちょっと未侑。何にやけてんの?」
くすっとした笑いを含んで晴華ちゃんに言われる。

「なんにもないよっ!!」
ちょっと舌を出して見せ、片足を軸に半回転し、自分の席に駆け出した。
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