君等の遺した最後の手紙は。(仮)
明日から夏休みとはいえども高校生の夏休みはなかなか忙しい。部活に課外、課題に私の場合は実行委員も。正直てんてこ舞い。だけどこの充実感が私は嫌いではなかった。

忙しすぎると大変で暇を恋しく思うけど実際暇になったならなったで何かをする気力も湧かなくなる。そんな感じ。

忙しいと無駄なことを考えずに済むから楽だ。中3の受験前もそうだった。起きて勉強して、寝る。その連鎖の繰り返しで何かを考えてる暇もなくて。
あぁ…だから華穂の小さな変化にも気づけなかったのかな?

私は受かって、華穂は落ちた…ーー

その事実の胸の痛みは今でも鮮明に思い出せる。だって華穂はそのせいで死んだのだから…。

喉元が焼き切れそうなくらい熱くなって涙が出そうになる。
もう、気持ちの切り替え下手すぎる。


「ゅぅ?…未侑?終業式おわったよ?立って」
ナイスタイミング。
「あ、ほんとだ、ありがと」
溢れそうになった涙も無事に引っ込んでちゃんと笑顔が作れる。
少しぎこちないけどほっぺた引き締めたちゃんとした笑顔。

華穂のことは誰にも言わない。誰にも…言えない。
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