約束～悲しみの先にある景色～
──────────………




｢…………無理、｣


信じられない程自分のテンションが下がっている事を感じながら、俺ーキム・トユンーは、部屋の机の上に妹達から押し付けられた荷物を置いてベッドに横になった。


あれは予想外の事だった。


瀬奈ちゃんには俺に妹が居る事を言っていなかったし、これからも言う予定がなかった。


ネットでは俺に弟妹が居るとか居ないとかいう噂が流れているけれど、その中には1つも正しい情報なんて無い。


｢はぁー、…瀬奈ちゃんどう思ったかな、｣


俺は、少しでもテンションを上げようとpromiseの曲を流しながら呟いた。


アイドルの妹2人とその兄のアイドルが、実は犬猿の仲でした、なんて。


ユナとサラには嫌な思いしかさせていなかったと思うから、せめて瀬奈ちゃんの前では優しい義兄で居たかったし、妹達と接する時と同じ様な態度を取らないように意識していたけれど。


｢怖がらせちゃったらどうしよ、｣


(そうなったら本当に最悪なんだけど、無理無理)


俺は、大きくため息をついた。


そんな俺に追い打ちをかけるかのごとく、


『それなのに何故だろう こんなに胸が痛むのは』


『大丈夫と言う度 僕の心は壊れていく』


流していた曲の歌詞が、グサグサと心に刺さる。
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