約束~悲しみの先にある景色~
「今“Lie”はキツいって…」


思わず愚痴を零しながら、俺は堪らず他の曲を流して。


今の気持ちを誰かに言いたかったから、寝っ転がったままアッキーに電話を掛けた。


アッキーに電話をした理由は、単純に韓国語で話せるから。


瀬奈ちゃんに、会話の内容を聞かれなくて済むから。




『……何、僕寝てたんだけど』


何となく予想していた通り、彼の声は寝ぼけていた。


「일어나서 상담이있는(起きて、相談があるから)」


俺は、そんな彼の言葉を無視して韓国語で話し掛ける。


『え?…何だって?僕のリスニング力低下したかもしれないから日本語で喋ってくれると嬉し』


「미안, 지금은 한국어로 이야기하고 싶은거야…. 가족에게 내용을 알리고 싶지 않기 때문(ごめん、今は韓国語で話したいんだ…。家族に内容を知られたくないから)」


そして俺は、呑気な彼の言葉を半分遮った。


どうしても日本語を使いたくなかったし、アッキーが絶対に相談相手になってくれる事は分かっていたから。


『…성실한 이야기? 무슨 일이야?(真面目な話?どうしたの?)』


俺の笑いを含んでいない声を聞いたアッキーの声も韓国語に変わり、真剣になった。
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