約束~悲しみの先にある景色~
俺は、深く息を吐いてから口を開いた。


『그녀는 두 사람이 오는 것도, 나에게 여동생이있는 것도 몰랐다(彼女は、2人が来る事も俺に妹が居る事も知らなかったと思う)』



その時、


『ねえ、一緒にゲームしよ!』


『ごめん今取り込み中だから後にしてもらえる?』


この雰囲気にそぐわない明るい声ーきっとマンネだろうーが聞こえ、それに対して感情のこもらない声で拒否をするアッキーの声が聞こえた。


『…今のマンネ、ごめんね』


そして、すぐに彼は俺に向かって謝り。


『…토유나 해결책은 어쩌면 스스로 속이지 있었을지도 모른다 네요(…トユナの決断は、もしかしたら間違っていたのかもしれないね)』


今日1番の、俺の心を抉る発言をした。



「…………そんなの…分かってるよ、」


それでも、隠しておきたかった。


大切な家族の存在と、自分の犯した罪を。


過去は変えられないのは分かっているし、今絶対困惑しているであろう瀬奈ちゃんに謝って全て伝えるのが1番良い手段だと分かっている。


けれど、何て言えばいいか分からない。


もう、何もかも分からない。


「………じゃあ、どうすれば良かったんだよ、……!」


もう、韓国語で話すのも面倒臭くて。


見上げた天井が不意に歪み、俺は片腕で自分の両目を覆った。


『…でも未来は変えられるよ。……トユナなら大丈夫』


下唇を噛み締めた俺の耳に、またアッキーの声が聞こえた。


彼の声は、俺の鼓膜を震わせて優しく溶けていく。


もう何かを言う力も無くて、俺はただ微かに頷いた。


自分の吐息が、やけに震えている気がした。
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