約束~悲しみの先にある景色~
そんな中、眠気も飛んだ私はベッドにダイブして先程の奇跡を思い返してにやついていた。


アイドルである義兄に、


『こんな可愛くて素敵で優しい妹を持てて、凄く幸せ』


と、お褒めの言葉を頂けたのだ。


例え彼がアイドルでなくても、こんな風に褒められて喜ばない人は居ないだろう。


特に、今まで、


『お前みたいなクズでカスでいっその事轢き殺してやりたいくらいの糞ガキとこれからも暮らすなんて信じらんねぇ、親の為にも早く餓死しろよ』


等とお父さんから言われてきて、かなり惨めで辛かった私にとっては、普通の人以上の喜びが身体を駆け巡っていた。


こうやって少しでもお父さんの事を考えるだけでも胃がむかむかしてきてマカロンを吐き出しそうで息が苦しくなるのに、トユンさんの事を考えるだけであの過去が嘘の様に思えて来るのだから不思議だ。


(…トユンさんと会えて、良かった)


そう言えば、この頃トユンさんやキムさんの目を抵抗無しに見れている気がする。


これも、私が成長した証なのだろうか。


私は天井を見上げながら笑みを浮かべ、そのまま静かに隣の部屋から聞こえてくるトユンさんの歌声に耳を傾けていた。
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