約束～悲しみの先にある景色～
その日の夜。


(…やばい眠い、本当にやばい、)


私は、過去最悪の眠気と闘っていた。


今の時刻は、22時を少し過ぎている。


お母さんとキムさんは、1階で紅茶を飲みながら何かを話している様だ。


会話の内容はよく分からないし、どう考えても場違いだと思った私は自室に逃げてきたのだけれど。


少しベッドに座ったその瞬間から物凄い眠気が襲ってきて、どうしようも出来ないのだ。


生憎、トユンさんはまだ仕事で帰ってきていない。


コーヒーでも飲んで寝ないようにしようかなと考えたけれど、絶対1階に行くまでの間に倒れそうだし、いつもの目薬を何回もさしているのに全然効き目がないし、腕をつねったり爪で跡をつけているというのにほとんど痛みすら感じないし。


先程ベッドに座っているのが悪いと思って周りを歩こうと立ち上がったら、バランスを崩してその場にしゃがみ込んでしまったから、運動して眠気を無くす事も出来なくて。


つまり、この状況を解決出来るのは、寝るしかないのだ。


(…無理、寝たくないんだけど)


そうやって自問自答している間にも、私の瞼は止まる事を知らないシャッターの様に下りてくる。


｢…や、だ……｣
< 276 / 329 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop