約束～悲しみの先にある景色～
意味が分からなくて、けれどそれに対して特に何かを聞こうとも思わなくて。


一体義兄は、何処までどういう意図を持って楽人さんに私の事を話したのだろう。


これから何を話されるのか少し怯えながら、私はアイドルグループのリーダーの口が開かれるのを待った。


静かな自室には、私と彼の呼吸音と暖房が風を送っている音しか聞こえない。



｢……あのさ、僕が前にいじめられてた的な話は知ってる？｣


何分経っただろうか。


遂に覚悟を決めたらしい彼は、少しだけ笑みを浮かべて私に問うてきた。


(あ、それって前にきっきが…)


いつだったか、ハイテンションになった輝星から各メンバーの話をされた時にそんな事も話していた。


｢一応…｣


同意すると、彼は、


｢あ、なら話は早いわ｣


今までの緊張感は何処へやら、私の枕を抱き締めながらすっかり此処が自分の部屋であるかの様にくつろぎ始めた楽人さんは、その笑った顔のまま驚くべき事を口にした。


｢僕もね、前まで寝れなかったんだ。いじめられた当時の悪夢ばっかり見るから｣



彼は、私が頼んでもいないのにつらつらと自分の見てきた夢の話を簡単に説明してくれた。
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