約束~悲しみの先にある景色~
真冬のアイスはやはり堪えるのか、青いそれを何度かかじったトユンさんは目を瞑って頭を押さえた。


「真冬にそんなアイス食べようとするのが悪いんだよ。僕と瀬奈ちゃんは学んでるから、あんまり頭痛くなってないんだよ」


「……酷いですねヒョン、じゃあこれあげますから雪見大福1つ下さいよ」


私とアイコンタクトを取りながらわざとらしい口調で楽人さんが皮肉を言うと、すかさずトユンさんが目を輝かせながら楽人さんの大福に手を伸ばして。


「は?僕ガリガリ君欲しくないから」


楽人さんに、氷よりも冷たい目を向けられて拒否されていた。


「じゃあ瀬奈ちゃん!これ受け取ってお願い!」


「いや、私もピノだけで十分です」


諦め切れない彼は次に標的を私に変えたけれど、私も苦笑いをしながら断った。


「何だよ2人共!けち!」


2人から拒否された彼は、わざとらしくプクーッと頬を膨らませた。


そんな彼の手の中にあるアイスは、彼の手の熱と部屋の熱で水滴となって溶けてきていて。


「トユン、アイス溶けてきてる溶けてきてる!」


あんぐりと口を開けた私と同じタイミングで楽人さんが大声を上げて。


「あーやばいやばい!」


危うく私の部屋にアイスの染みを作るところだった義兄は、焦った顔で溶けかかってきた青をペロリと舐めた。
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