迷子のシンデレラ
女性関係が派手だと聞いた彼。
こんなチンケな自分に手を出さなくても、いくらでもお相手がいるのだろう。
自分は、シャーロットの時のように着飾って魔法をかけられなければ相手にされないのだ。
マスクで顔を隠して彼の都合のいいように補正された姿でなければ……。
本来の姿である榎下智美では見向きもされない。
内村課長に言われたから食事へ誘った。
ただそれだけ。
そう思うとジクジクと鈍い痛みを感じるのに、それにしては何度も食事に誘ってくれるじゃないと自分の考えを否定すればそれはそれで困ってしまう。
自分は彼にどう思われたいのか、答えは明白なのに、それを見ないようにしていた。