迷子のシンデレラ
「でも、どうやら彼も身を固める覚悟を決めたみたいで、最近は遊んでないみたいよ?
誘いも断ってるって。
婚約者候補の誰かと結婚するんじゃないかって」
頭を鈍器で殴られた気分だった。
彼は結婚するんだ……。
彼がふさわしい人と結婚するまで、彼にとって遊びでも構わないから側にいたいと願った。
けれど何度か二人で食事に行っても最初の夜のように情熱的な状況にはならなかった。
遊び相手としてさえも見てもらえなかったのは、結婚を心に決めた人がいるから。
何にショックを受けているんだろう。
分かっていたことじゃない。
頭を振って正気を取り戻すと仕事に集中した。