迷子のシンデレラ

 帰り道を急ぐ智美に声をかける人物。
 今日は、今日だけは会いたくなかった葉山だった。

「智美ちゃん。どうしたの?
 急いでる?」

「はい」

 もう彼と二人で食事に行ったりしてはダメだ。
 そう思うのに彼の心地よい低い声に心は囚われてしまう。

「ほんの少しでいい。
 付き合ってくれない?
 落ち込むことがあって、さ」

 力ない声に脚を止める。

 振り返った智美の目には「情けないな」と髪に手を入れてかき回す彼の姿。

「どうされたんですか?」

「いや、うん……」

 口元の顎に近い辺りへ視線を寄越して「せめてホクロがあったら……な」と寂しそうな表情を浮かべると力なく笑った彼を見て切なくなった。

 まだシャーロットを?
 ううん。そんなわけない。
 だって彼は……。

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