愛しい君を殺したのは誰?
季節は春。

桜が舞う真っ白な教会で、奏は綺麗なウエディングドレスに身を包み、 先生の隣で微笑んでいる。

僕は、ただの参列者の1人に過ぎなかった。

なんとなく、僕も微笑んでみたけど、祝福の気持ちなんて、全く湧いて来なかった。

教会の窓からは、春の暖かな日差しが差し込んで、ステンドグラスも美しく輝いている。

周りの皆も、奏達を祝福し、笑顔でいっぱいだった。

やっぱり、僕の周りだけが、また、静寂に包まれている。

そして、春だと言うのに、身体中に冷たい空気を感じて、僕はたまらず、席を立った。

そんな僕に、誰一人気付く者はいない。

そう、奏だって…






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