愛しい君を殺したのは誰?
幸せまでの足音
奏は、しばらく近くのビジネスホテルに泊まることになった。

仕事もしばらく休むらしい。

僕は、奏に、できる限りのことをしようと思った。

先生のことが本当に好きだった奏の心を、完全に元に戻すことは出来ないだろう。

だけど、ほんの少しでも、奏に笑顔が戻るように…そう願わずにはいられなかった。

ただ、残念ながら、警察の捜査は難航した。

実は、最近、この辺りで強盗があったらしく、同一犯の可能性もあるとのことだった。

昨夜、近くの監視カメラには、確かに怪しい人物も映っていたようだが、それが犯人かどうかの決め手にはかけた。

財布や時計が盗まれていたことから、強盗が、先生の部屋に入ったものの、起きていた先生に見つかり、思わず手を出して気絶させた。

それから、念の為に持って来たロープで首を絞めた…

警察の見解は、そんなところらしい。

奏は、何も物音を聞いておらず、最初は少し疑われはしたものの、女性にはこの一連の作業は無理と判断し、早い段階で疑いは晴れた。

僕は、ホッとしていた。

奏が犯人の訳ない。

そんなことが出来る人間じゃないことを、僕が誰よりも1番知ってるんだから。










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