愛しい君を殺したのは誰?
『奏…僕は何もしてないよ、奏を裏切るようなこと、本当に何もしてないんだ。ただ、奏のこと、もっと知りたくて…』

もう、僕の言葉は、奏の耳には入らず、ただ、ボロボロとこぼれ落ちていった。

奏は、僕のことを信じられないんだ…

あんなにずっと一緒にいたのに…

『私を裏切って…みんな、私を裏切って、私を裏切って…』

奏の目は、不気味に開ききっていた。

そして、その目で、まるで悪魔を見るように、僕を睨んだ。

なんで…

でも、今、確信した。

奏が、先生を殺したんだ。

女にだらしない先生を許せなくて…

奏は、今まで、優しい女の仮面を被って生きてきたのか?

僕は、何もわかってあげられなかった。

全ての苦しみから、逃げたくて、奏は先生を…
< 42 / 58 >

この作品をシェア

pagetop