愛しい君を殺したのは誰?
静かな告白
今、ハッキリ奏の声が聞こえた。

この暗いジメジメした檻の中には、僕しかいないはずなのに…

『隼人…大きくなっても、ずっと私の王子様でいてね』

奏…

優しい声だ…

目を閉じると、綺麗な夕焼けを見ながら絵本を開く僕らがいる。

すぐそこに、手に取れそうなくらいリアルに…

2人とも笑ってる。

『奏の王子様になる』

僕は、元気に答える。

小学校3年生の頃だ…

思い出すと、胸が熱くなった。

気がついたらスーッと、涙が頬を伝っていた。

心の奥に隠してた秘密の小箱の蓋が、一気に開いた気がした。

奏への想いは、もう飛び出して無くなっていたけど、でもまだその奥にも、秘密が押し込まれていたんだ…

僕は、唇を噛み締めた。

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