愛しい君を殺したのは誰?
どうしようもない苦しみの中で、僕のたった1つの救いだった奏。

子どもの頃、僕は死んでも、奏を守ろうと誓った。

それからずっと…

奏を守ってきた…

…つもりだった。

奏はいつも笑ってたのに、時折寂しそうな顔を見せる。

それがとても悲しくて、僕は奏に元気になってもらえるよう、必死で楽しませたり、励ましたりした。

でも、ある時…

そう、中学生だったか…

奏が、僕に隠れて泣いていたんだ。

初めて見た、奏の涙。

僕は、無性に心配になった。

その日、夜になって、誰にも見つからないように、奏の家に行ってみたんだ…

窓の外から奏の家を覗いて見ると、信じられない光景が目に飛び込んできた。

奏が、母親に激しく叩かれたり蹴られたりしていた。

頭やお腹。

本当に今まで気づかなかった。

いつから?

今までずっと?

僕はその苦しみに全く気づかず、奏を守っているんだと信じこんでいたんだ。

奏、ごめん、知らなくて。

僕は最低だ、ごめん…

もう一晩中、ずっと、涙が止まらなかった。

自分を責め抜いて泣いた。
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