愛しい君を殺したのは誰?
僕は…留置場の天井を見上げた。

星も月も何も無い、ただ、漆黒の闇が僕を覆い尽くした。

また、そっと目を閉じた…

奏は、それからもずっと、明るく振る舞い続けた。

僕は、虐待のことを誰にも言わなかった…

いや、言えなかった。

いつも嬉しそうにお母さんのことを自慢する奏のことを思うと、どうしても、言えなかったんだ。

言えば、お母さんと奏は、離れ離れになってしまう。

そんなことしたら、奏から大切な人を奪うことになる。

悩んで苦しんでいるうちに、あの事件が起こった…

奏のお父さんが、行方不明になったんだ。
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