胎動
ソレは食べきった猫を捨てると逃げ遅れた猫に飛びついた。


今度の猫はさっきよりも元気で、ソレの腕の中で暴れ回っている。


小さな猫の爪がソレの腕に突き刺さった。


「あっ」


咄嗟に駆け寄ろうとしたが、途中で思いとどまった。


ソレは猫の頭部へ噛みつくと、猫がすぐに静かになったからだった。


ソレの腕には微かな傷がつき、青い血が流れ出している。


後でちゃんと褒めてあげて、手当てをしよう。


そう思ったのだった。
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