胎動
ソレは鋭利な牙を子猫の体へと突き立てた。


「やった!」


思わずそう声を上げていた。


しかし刺し所が悪かったのか、なかなか血が出てこない。


ソレは牙を一度引き抜いて、再度刺し直した。


今度は上手く行ったようで、ジュルジュルと音が聞こえ始めた。


ゴクゴクと喉を鳴らして血を飲み込む度に、猫は大人しくなっていく。


「よかった。初めての狩りが成功したね」


嬉しくて、涙が出て来そうだった。


一匹目の猫がソレの腕の中でダラリと力を失ったとき、ソレは次の猫に狙いを定めていた。


必死に逃げようとしていた猫たちだけれど、足元もおぼつかないので逃げようがない。
< 121 / 231 >

この作品をシェア

pagetop