模擬彼氏
私は寺原の両手を握った。

「お願い、寺原!私の幸せな結婚生活の為に!」

「それと僕が、どう結びつくんですか!?」

私の両手を振り払った寺原は、壁に張り付く。

「寺原は、私が不幸になってもいいの?」

「うっ……」

「ずっと私に仕えていたでしょう?私がどうなっても、自分には関係ないって言うの?」

「ううっ……」

苦しそうに悶えた寺原は、一呼吸置いて、目を閉じた。


「わ、分かりました。この寺原、自信はありませんが、お嬢様に恋愛をご指南致しましょう。」

「やったわ!」

その場で飛び上がる私に、渋い顔をする寺原。

「じゃあ、私の事は紗雪って呼んでね。」

「はあ……では僕の事は、圭一と呼んで下さい。」

「分かったわ。圭一さん。」

こうして、私と寺原の模擬試験的な恋愛は始まった。
< 17 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop