模擬彼氏
映画が終わって、私達は車に戻ろうと、映画館を出た。

「紗雪、どうだった?面白かった?」

「えっ!?ええ!」


実は緊張しっぱなしで、内容なんてほとんど覚えていない。

知ってる物語でよかった。

じゃなかったら、お金を無駄にした気になるもの。


「よかった。」

寺原は、安心した顔をしている。

「紗雪の喜ぶ顔を観たくて、連れてきたようなものだもんな。」

また、心臓がドキドキしてきた。

せっかく治まったって言うのに。

でも今度は、ドキドキするだけじゃ足りなくて、もっと寺原の側にいたい。

「圭一さん……」

私は、寺原の腕を掴んで、顔を寄せた。


その時だった。

寺原の顔が近づいてきて、私の唇に柔らかい物が重なった。
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