模擬彼氏
▼▼▼


次の日。

鏡を見ると、私の目は腫れていた。


「珍しいですね、お嬢様のそのような顔。」

毎朝、顔を合わせる祈子は、少しの変化も見逃さない。

「うん……」

こんな顔で、外になんて行きたくない。


結局あれから、一人でタクシーに乗って帰って来て、そのまま部屋に籠ってしまった。

後から帰って来た寺原が、部屋の前に来てくれたけれど、何も言えなくて、無視してしまった。

しばらくは、ずっと部屋の前にいてくれたけれど、私がドアを開ける気がないって知ると、いつの間にかいなくなっていた。


困ったのはそれだけじゃなくて、寺原のキスが嫌じゃなかった事。

一晩中、あの場面と寺原の顔が、頭から離れなかったのだ。
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