模擬彼氏
「まあ!そう?」

母は、佐久本さんを前にして、興奮している。

「はい。たまには、父の言う事も、聞いてみるものですね。」

そう言って佐久本さんは、私を見つめる。


恋愛に疎くても分かる。

私の事を気に入ってくれているんだって。


「ではそろそろ、若い二人に任せてね。」

なぜかお母様がソワソワと、父の背中をつつく。

「そうだな。」

お父様もワクワクしながら、席を立つ。

「えっ?二人きり?」

それを聞いた私は、血の気が引くのが分かった。


会って10分も経たないって言うのに、知らない人と二人っきりになるの~!

顔をこわばらせながら、佐久本さんを見ると、まだニコニコしている。

それが反って怖い。
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