模擬彼氏
「紗雪、頑張るのよ。」

お母様が、私の肩を叩いた時だ。


「失礼します。」

突然戸が開き、スーツ姿の寺原が、姿を現した。

「どうした?寺原。何かあったか?」

「はい。」

お父様とお母様が、顔を合わせる。

「旦那様、奥様。突然で大変申し訳ありませんが、こちらを。」

寺原の差し出した封筒を見て、二人は飛び上がる程驚いた。

「退職届!?なぜだ?寺原!」

叫んだお父様は、情けなく腰を抜かしてしまう。

「何かあったの?仰ってみなさい!」

お母様も、佐久本さんが近くにいるのに、取り乱している。


「実は、旦那様と奥様に、お願いがあるのです。」

「えっ?」

驚いている二人の前を通り越して、寺原は私の横に座った。
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