模擬彼氏
舌打ちをしながら、その場に腰を降ろしたお父様。

「寺原はどうなんだ!紗雪の事を、どう思ってる!」

明らかに、苛立っている。

「私が執事になったのは、お嬢様と一緒にいる為です。他に理由なんて、ありません。」

寺原は頭を上げると、私を見つめた。

「お嬢様は昨日の夜、私にこうお聞きになりましたよね。『呼べば来るのは、私がこの家のお嬢様だから?』と。」

「え、ええ……」

急に、どうしてその話を?

私の心臓の鼓動が、早くなる。

「答えは、いいえです。紗雪さんだから、行くのです。愛しい人だから、その呼ぶ声に応えたいと思うんです。」

「圭一さん!!」

私はお父様とお母様の前で、寺原に抱き着いた。
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