模擬彼氏
「ムクククッ!」

直ぐ近くでこれを見ていた佐久本さんは、私達を見て笑っている。

「わわわ!申し訳ありません!」

寺原は、佐久本さんに頭を下げた。

「いえいえ。いいモノを見せて頂きました。」


もしかしてこの人、この修羅場を楽しんでる?


「水戸部さん。どうやら、紗雪さんのお相手は、僕ではなく、この方だったみたいですね。」

「佐久本さん……」

すると佐久本さんは、急に足を崩した。

「いやあ。紗雪さんだったら、本気になれそうだったんだけどなぁ。」

佐久本さんは、寺原をチラッと見た。

「申し訳ありませんが、紗雪さんはお譲りしませんよ。」

「分かってます。お幸せに。」

佐久本さんは、そう言ってくれたけれど、この場で笑っているのは、何を隠そうその、佐久本さんだけだった。
< 67 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop