模擬彼氏
でも次の瞬間、佳南さんからはその笑顔は消えた。

「そうそう、紗雪さん。私ね、婚約者ができましたの。」

「えっ!?」

私は持っていたティーカップを、落としそうになった。

「いつの間に?」

「この前、別宅に行っていた時ですわ。」

佳南さんは、スプーンでアールグレイを、静かに回した。


「……どんな方?」

「そうですわね。とても大人しそうな方。」

そのアールグレイに、相手の方を写していらっしゃるようだ。

「こちらから話しかけないと、ずっと黙っていられる方なの。最初は、何からお話していいか、分からなかったから、何もおしゃべりせずに、2時間が経っていました。」

「2、2時間!?ずっとおしゃべりせずに?」
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