かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「颯志くん、あの……」

「――お前と沙之の姿を見たとき」

目の前の大きな背中が、彼の言葉に従って震えた。

「……くやしくて、狂いそうになった。沙之に、瑠莉を奪われたのかと」

綺麗に整えていた髪をぐしゃっとかき乱して、颯志くんが背中を丸める。

沙之くんに嫉妬していたの?

不謹慎にも喜びそうになってしまった私は、ごくりと息を呑み込んで、彼の次の言葉を待つ。

「とにかく、お前と沙之の仲を引き裂きたくて、必死だった。……ごめんな。俺はお前と再会する前の六年間を、まったくなにも知らないのに。もし、お前が、沙之と付き合っていたっていうなら――」

「いえ……私は、沙之くんとはお付き合いしていません」

「……そうか」

きっぱりと言い切った私の言葉を聞いて、颯志くんは少し安心してくれたのだろうか、体を前に向ける。

不安げに歪んだ横顔が見えて、私の胸は張り裂けそうになった。
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