かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
運転席から降りてきた彼は、白のカットソーにグレーのジャケットを重ねて、ボトムスはシルエットの綺麗なブラックパンツ。

都会的で洗練された大人スタイルにほうっと息をついてしまう。

久しぶりに間近で見た顔は、相変わらず端正で綺麗だけれど、昔よりも歳を重ねたせいかより凛々しく、男らしく、精悍に見えた。

今日、私はこんなに素敵な男性の隣を歩かせてもらえるのだ。

なんだかちょっと誇らしいし、同時に緊張で足が震えてしまいそう。

私、ちゃんと釣り合う格好できているかな……?

思わず目線を落として自分の格好を確認すると、それに合わせて颯志くんも私の足元に目をやって、上へ滑らせるように全身を眺め見た。

「へぇ。瑠莉もすっかり大人になったな」

白いシャツにネイビーのフレアースカート、胸元は大きめに開けて、レースのインナーを覗かせている。

普段の格好とはちょっと違う、照準を三十代に合わせた大人コーディネートだ。彼に対等に見てもらいたくて、今日のために新調した。

それから、大人びた小ぶりのバッグに、さりげないゴールドのネックレスは、母から借りた高級なブランド品。

颯志くんと食事に行くと説明したら、喜んで貸してくれた。
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