かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
彼は車の正面をぐるっと回って運転席に乗り込むと、慣れた仕草でシートベルトを締め、エンジンをかけた。

そういえば、彼の運転する車の助手席に乗せてもらうのは初めてだ。

しかもこんな近距離で、密室で、いったいなにから切り出せばいいか……。

「瑠莉」

「……っは、はい!」

唐突に名前を呼ばれて、私は背筋を真っ直ぐに伸ばして向き直った。

そんなリアクションの私を見て、彼はハンドルに手をかけたままクスリと笑う。

「なにが食べたい? リクエストはあるか?」

「え……ええと、好き嫌いはないので、颯志くんのお勧めがあれば」

「了解」

短く答えると、颯志くんは車を走らせる。

彼がかけてくれたBGMはリゾートっぽい曲調の洋楽で、フランス語の柔らかな語感がとてもおしゃれ。ムードに当てられて、なんだか自分もちょっぴり大人の女性になった気がした。
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