かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「瑠莉は今、親父さんの会社に勤めているのか?」

運転しながら、颯志くんはちらりと私に視線をくれる。

「はい。父のお手伝いを。古くから父の秘書を務めている方がもうすぐ定年を迎えるので、私が跡を継いでサポートできたらなって」

「……ちゃんと考えてるんだな。えらいじゃないか」

「立派だね」とか、「しっかりしているね」とか、褒めてくれる人は周りにたくさんいたけれど、他の誰でもない颯志くんに認めてもらえたことが嬉しくて、思わず頬が緩む。

「颯志くんも、お父さまの会社で働いているんですよね? いずれ跡を継ぐって……」

なんの気なしに聞いた質問だったのだけれど、颯志くんは「ん……あぁ、そのうちにな」と要領を得ない返答でぼんやりと濁した。

まだ、しばらく先ってことなのかな。そりゃあそうだよね、あんなに大きな会社の責任者になるんだもん。

颯志くんのお父さまだって、社長を継いだのはかなり歳を重ねてからだったはずだ。

きっと颯志くんは今、お父さまの下で将来を見据えて修行中なんだ。

そう納得して、すごいなぁなんて感心しながら、運転する彼の横顔をこっそりと見つめていた。
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