マイ・ディア・タイガー



 絶対安静と言われていた3日が過ぎ、部活にも出られるようになった。

まだ痛みはあるのでできれば安静にするべきと医者には言われているが、5日間も休んでしまったのでできるだけ早く復帰したかった。

5日振りに部活に顔を出すと、それはもう部員に「おかえり!!」と喜ばれた。


特に同学年の1年生メンバーは、私の日々の仕事を代わりにやってくれていたので、練習があまりできなかっただろう。

申し訳ないと謝ると、「何言ってんだよ、いつもこんな量の雑用1人でやっててほんとすげーよ、ありがとな」と逆にお礼を言われた。

サッカー部のマネージャーにならなきゃ、皆ともこんな風に関わらず、優しい人ばかりと知らないまま、目立つタイプが多いサッカー部には怖くて近寄る事すらできなかっただろう。



そんな風に思えるようになったのも、元を辿ればきっと虎頭先輩のおかげだと思うのだ。


だって正直このサッカー部に、いやこの学校に、虎頭先輩より怖い人なんていない。

そう自分に言い聞かせたら、たしかにな、と納得できた。




捻挫のせいで部活中も前のようにキビキビと動けず、足を庇いながらゆっくりと動く私を田中先輩が気遣って周りの皆に声を掛けてくれた。

皆は嫌な顔をせず、むしろ田中先輩が声を掛ける前から気遣ってくれていて、練習中も手伝ってくれていた。


無事に本日の部活を終え、女子更衣室で制服に着替える。先輩や同学年のサッカー部員らは面倒くさがってジャージのまま帰るので、部活のままの姿でいつものようにふざけ合っていた。


その集団に近寄ると、田中先輩が真っ先に気づいた。


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