マイ・ディア・タイガー
「は?つべこべうるせえな、いいから帰んぞ」
「せ、先輩もしかして部活終わるまで待っててくれたんですか?す、すみません受験生なのに…!」
「勉強してたから問題ない」
「いや、そういう問題ではなくて…送っていただく時間ももったいないというか…」
「あ?」
「ひっ」
また睨まれた…。
そんな私を見て田中先輩が苦笑しながら、「諦めな、四條。ここは甘えさせてもらいなよ」と言った。
これが甘えられますが、と心の中で悪態をつくが、それすらも虎頭先輩には見透かされていそうで恐ろしい。
「あの、先輩。今更の事で申し訳ないのですが聞いてもよろしいでしょうか…」
「何だよ」
「つかぬことをお聞きしますが…先輩、彼女さんは…」
本当に今更ながら、先輩には今彼女さんがいただろうか。
いてもおかしくない。私が入部したての頃は、めちゃくちゃきれいな先輩と付き合っていると聞いた事がある。
彼女がいるなら、私のこの状況は隣非常にまずいのでは。
「いねーよ」
「え…春頃から付き合っていた先輩は…」
「あー、1カ月経たない内に別れた」
「は、早くないですか!?あんなにきれいな先輩だったのに…」
「知らねーよ、部活あるから無理だって言ったし。それでもいいって言われたから付き合ったのに、後からめっちゃ文句言われたし」
「そ、そうですか…」
か、軽いなあ。
でもやっぱり、清々しいほどに見た目はいいから、どれだけ口が悪くても冷たくしても、モテてしまうんだな。
すごい、本当にこの人は、私とは住む世界が違う世界の人なんだな。
先輩の後ろ姿を見ながら、しみじみとそう感じた。