Shooting☆Star

☆10話☆

梅雨に入っても雨は少なく、6月の日差しは日に日に強くなる。
たまの休日にも、百香は祐樹に誘われるままに出掛けるようになった。祐樹と二人のこともあれば、祐樹の友人達が合流することもある。
仕事柄、プライベートを一緒に過ごせる友人の少ない百香にとって、誰かと気兼ねなく外で過ごすことは新鮮だ。
祐樹の彼女として振舞い、彼の友人達に嘘をつき通すのは心苦しいこともあるが、ダイチとの誰にも言えない関係をなんでもないと隠し続けるよりは、幾分かはマシだと思う。
相変わらず、二人ともダイチも誘って出掛けようと提案するが、ダイチはずっとそれを断っていた。
ダイチと一緒に過ごす時は、殆ど部屋から出ることはない。
時々、百香はダイチの部屋に泊まる。
ダイチにとって、それは付き合い始めた頃からずっと変わらない日常だった。
だから、その日も、仕事終わりに事務所に二人きりになったタイミングで、百香から“帰りにダイチの部屋に寄ろうか?”と、提案してきたのもいつも通りで自然なことだ。

その日、ダイチは、いつもなら自分からしていたその提案を受け入れなかった。
理由を問われて、ダイチは冷たく言い放つ。
「俺の部屋に来たって、結局ヤるだけじゃん。」
「えっ……なんで?なんでそんなこと言うの……?」
「百香、ユウといる方が楽しいだろ?」
自分でも、嫌な言い方だな……そう思うけど、多分、これは事実だ。
そして、この感情は祐樹に対する嫉妬だとも思う。
百香はこちらを見ようともしないダイチの横顔をジッと見た。
でも、どんなに見つめても、ダイチの言葉の真意がわからない。
百香は俯いた拍子に、ふと、ダイチと付き合い始めた時のことを思いだす。
ダイチもまた、その頃を思い出していた。
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