Shooting☆Star
結局、ヤるだけじゃん。
祐樹といる方が楽しいだろ?
ダイチの言葉が、自分の中をぐるぐる回っている。
ダイチには私が、そんな風に見えるんだ……
百香は俯いて足元をみていた。
あの日、会いたいと言ってくれたダイチを愛しいと思った。
一緒に居たくて、嫌われるのが怖くて、ずっとダイチの求めるままにしてきた。
ダイチはぴーぴー泣く女は嫌いと公言していたから、彼の前で泣きたくはなかった。
……ダイチにとっての、本当の私って、なんだろう。
「そう……。わかった。もう、誘わない。」
ごめんね。もう、別れよう。
百香は小さな声で独り言のように、涙の代わりに震える言葉をこぼす。
「……じゃあ、帰るね。鍵、締めといて。」
そう言って、百香はダイチに背を向けて、事務所を出ていく。
追いかけたら、百香は俺を許すのだろうか?
それとも祐樹にするように、悲しみや怒りに涙を零すのだろうか。
これから百香はどうするのだろう……。
ダイチはしかし、今の自分に百香を追い掛ける資格は無い…と思う。
ただ黙って目の前で閉まった事務所のドアを見ていた。
あの時、約束を破ったのは自分だ。

きっともう、戻る術はない。
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