Shooting☆Star
事務所に戻ると百香はすぐに各社にFAXを送り、会見の手配を整えた。
先に百香の提案した通り、妊娠を伏せ、籍を入れるのは彼女が20歳になる誕生日を予定していると添え、婚約だけを発表する。
百香は通常の仕事をこなしながら、送迎や撮影の合間を縫って、茉莉子の所属する事務所の関係会社とスポンサーに、所属事務所の移籍の報告と今後の協賛についての相談をした。
有り難いことに、いくつかの企業は、引き続き彼女を使用したいと申し出てくれた。
契約の切れることになる会社へは、謝罪し、違約金はこちらに請求するよう申し入れる。
弘也は、百香と社長が自分の為に動くのを、為す術もなく見守る。
百香は一体どこに、これだけの想いを隠していたのだろう。
百香がマネージャーになって2年半程になる。いつもふわふわと微笑んで、楽し気に仕事をするのを見てきた。
S☆Sの最年少の拓巳と同い年の百香は、まだ22歳だ。
普段の百香は10代と言っても通じる程度には幼く見える。
今、目の前に居るのは、弘也の知らない百香だ。
自分よりもずっと大人だな…と思う。
百香が弘也や茉莉子を庇うことに、何のメリットもない筈だ。
それでも、百香は嫌な顔ひとつぜずに、弘也の為に、取引先に謝罪と感謝の言葉を繰り返す。
月末のその朝、いつものミーティングの終わりに、百香は「それから、ヒロが結婚するわ。籍を入れるのは年明けになるけど。会見は今日の午後。何を訊かれても、何もコメントしないように。以上。」と、それだけを告げた。
突然の言葉に唖然とするメンバーを置いて、百香は「さ、今日も仕事しましょ」と、笑って事務所を後にする。
会見に付き添う為に乗った車の中で、百香は弘也に「カメラなんて見なくていい。話すのは打ち合わせしたことだけ。あとは終わるまで、マリちゃんを守ることだけ考えていて。」と言った。
長い沈黙の後、窓の外に視線を逃して、独り言のように呟く。
「貴方達のことは、私が守るから。」
先に百香の提案した通り、妊娠を伏せ、籍を入れるのは彼女が20歳になる誕生日を予定していると添え、婚約だけを発表する。
百香は通常の仕事をこなしながら、送迎や撮影の合間を縫って、茉莉子の所属する事務所の関係会社とスポンサーに、所属事務所の移籍の報告と今後の協賛についての相談をした。
有り難いことに、いくつかの企業は、引き続き彼女を使用したいと申し出てくれた。
契約の切れることになる会社へは、謝罪し、違約金はこちらに請求するよう申し入れる。
弘也は、百香と社長が自分の為に動くのを、為す術もなく見守る。
百香は一体どこに、これだけの想いを隠していたのだろう。
百香がマネージャーになって2年半程になる。いつもふわふわと微笑んで、楽し気に仕事をするのを見てきた。
S☆Sの最年少の拓巳と同い年の百香は、まだ22歳だ。
普段の百香は10代と言っても通じる程度には幼く見える。
今、目の前に居るのは、弘也の知らない百香だ。
自分よりもずっと大人だな…と思う。
百香が弘也や茉莉子を庇うことに、何のメリットもない筈だ。
それでも、百香は嫌な顔ひとつぜずに、弘也の為に、取引先に謝罪と感謝の言葉を繰り返す。
月末のその朝、いつものミーティングの終わりに、百香は「それから、ヒロが結婚するわ。籍を入れるのは年明けになるけど。会見は今日の午後。何を訊かれても、何もコメントしないように。以上。」と、それだけを告げた。
突然の言葉に唖然とするメンバーを置いて、百香は「さ、今日も仕事しましょ」と、笑って事務所を後にする。
会見に付き添う為に乗った車の中で、百香は弘也に「カメラなんて見なくていい。話すのは打ち合わせしたことだけ。あとは終わるまで、マリちゃんを守ることだけ考えていて。」と言った。
長い沈黙の後、窓の外に視線を逃して、独り言のように呟く。
「貴方達のことは、私が守るから。」