ピ リ カ(動物と会話する女の子)
二「キツネとネズミ」
「お母さん、明日は真狩村で炊事遠足なの、ジンギスカンするからお弁当は要らないけど、おにぎり二つお願い…」
「真狩かい、真狩のどこ行くの?」
「羊蹄山青少年の森だって」
「あの下の方に湧き水が出ている池があるんだ。 なんか凛とした雰囲気の池なんだ。 時間あったらよってごらん」
「へぇ、よってみようかな」
ジンギスカンを食べ終わり、友達のミヨリとふたりで池を見に行くことにした。
「ねぇ、この池なんだけど少し空気観が違わない?」
「そうね、チョット違うかも……なんだろう?」
「あっ! 北キツネ」ミヨリが指をさした。
するとそのキツネが突然「人間はさっさとここから消えろ!」突然二人に向って大きな口を開け威嚇してきた。
「どうしてなの?」ピリカは咄嗟に声を掛けた。
「……なんだおまえは? はやく私の子供を帰せ!」
「えっ、なに? あなたの子供がどうかしたの?」
「お前もあいつらの仲間だろうが、噛み殺してやろうか」
「ねぇ、キツネさんどういう事? 話しを聞かせてくれない」
ピリカの能力を知らないミヨリはその様子を不思議そうに見ていた。
「ミヨリ、チョット危険だから先に戻っていて欲しいの」
「えっ……どうしてよ?」
当然の疑問であった。
「お願い。事情はあとで話すからゴメンね」
「うん、じゃあ先に戻ってるね。 早く来てね」ミヨリは釈然としないまま戻っていった。
狐とふたりになったピリカが「キツネさん、聞かせて…」
「三日前、お前達人間が私の子供を連れさったのさ……」
「どういう事? 子供さん罠でもに掛かったの?」
「そうだ、返してくれ!」威圧的な雰囲気だった。
「今、あなたの子供は何処にいるの?」
「ニジマスを養殖してる家の横だ。 木の納屋の中」
「場所教えてちょうだい、私行くから」
「あんたはあいつらの仲間じゃないのか?」
「同じ人間だけど仲間ではない。 信じて、それに、私はピリカっていうの、ピリカって呼んで」
「わかった。私に付いてきて」
「ついて行くのはいいけど、あなたと違って早く走れないからね」
「人間が遅いのは知ってる、あんたに合わせるよ」
二人は納屋の近くに来た。
「あそこだよ」
その納屋の側には違うキツネが茂みに潜んで様子を伺っていた。
「あのキツネは?」
「あれは私の旦那。 ずっと隙を伺ってる。 あれからずっと食事もしてない」
「じゃあ、三日も食べてないの?」
ピリカは胸が痛くなった。
「私、頑張るからね。 その前に旦那さんに私のこと説明してほしいの」
「わかった。今ここに連れてくるからピリカから説明して」
ピリカの前に二匹のキツネが座った。
「私ピリカ、事情は聞きました。 私にお子さんを助けるお手伝いさせて下さい」
「お前は誰だ? 人間は信用ならん!」
「お父さん、この娘は違うの、チョット聞いて」母キツネは必死に訴えた。
ピリカが口を開いた「ごめんなさい……」
緊張が走った。 父親がピリカをにらんだ。 父狐をじっと見つめるピリカの頬に涙がこぼれていた。 その瞬間、父親の険しい表情が一変した。
「ピリカさん。あなたになにが出来ると?」
「わかりません。 でも、私はネズミさんと会話が出来ます。 まず、中の様子を聞いててみますから、二人はネズミさんが怖がるといけないので少しの時間だけ遠くへ離れていて下さい」
「お父さん、ピリカさんの言う通りにしましょうよ」
二匹はその場から離れた。
「ネズミさん聞こえますか? 誰か応えて下さ~い、ネズミさんお願い」ピリカは声にならない声で叫んだ。
「誰じゃわしらを呼ぶのは?」
ネズミが一匹近寄ってきた。
「あっ、ネズミさんこんにちは」
「なんじゃ、人間か?」
「ネズミさんにお願いがあります」
「なに?」
「あの小屋の中にキツネの子供がいるの、様子を見てきて欲しいの」
「なんでじゃ?」
「三日前に捕獲されたキツネの子供が気になるの」
「あんたになんの関係が?」
「その子の親が心配してるの」
「だから……?」
「だからって、親なら子供の安否は気になるものでしょう?」
「あんた名前は?」
「ピリカです」
「ピリカさん、あんた馬鹿か? わしらネズミ達は猫やキツネ、トンビなどネズミの天敵じゃ。 身内や知り合いの多くは奴らに殺された。 これからも永遠に続くじゃろうて……そんな天敵の助けになることをなんでこのわしが? ふざけるな……話にならん」
よく考えると当然のはなしとピリカは気づき同時に落胆した。
「そうですよね、天敵ですものね……」
でも気を取り直しピリカは「中の様子だけでも何なんとかお願いします」
「あんた、しつこい! わしは行く。じゃあな」
「あの……」
「だからしつこ……」
その瞬間、ピリカは思わず叫んだ。
「穀物を沢山差し上げます。 キツネさんに、もうネズミたちに危害をくわえないよう約束させますからお願いします」
「ネズミだと……キツネはさん付け、わしらネズミは呼び捨てかい」
「いえ、ネズミさんです……すみません」
「穀物かわかった、とりあえず様子だけ見てくるか」そういい残しネズミは小屋に向った。
その頃ミヨリは「ピリカ、どこ行ったんだろう? もうあと片付けも終わりいつ集合の号令が掛かるかわからないのにどうしよう……まったくもう」
ネズミが小屋の中を覗いてみると、ゲージの中で身体を震わせた子キツネを確認した。
「なるほど、あの子のことだな」
ネズミはその様子をピリカに伝えた。
「よかった。 生きてた」
「あのさ、ピリカとやらひとつ聞いていいか?」
「はい、なんですか?」
「キツネのことなのになんであんたがそんなに喜ぶ?」
「キツネでも人間でも親が子を思う気持ちは変わりないと思うの、ネズミさんだって同じでしょ?」
「それはそうだけど、我々はキツネに……」
「ごめんなさい」ピリカは頭を下げた。
「あんたに頭下げられても困る。 わかった。もういいからあの子の親に無事を教えてあげな」
その様子を見ていた親キツネは歩み寄り思わぬ行動に出た。
その頃「あ~どうしようピリカちゃん。 集合の合図鳴ったよ。 どこに行ったの?」
「あと十分でバスは出発しま~す! 生徒は全員バスに戻りなさ~い!」
二匹のキツネはネズミの前に歩み出た。 ネズミは瞬間ピリカの後ろに回り込んだ。
キツネはネズミに「ネズミさん、ありがとうございます」
深々と頭を下げた。 キツネがネズミに頭を下げた前代未聞の瞬間であった。
「イヤ、その……ワシはピリカさんに言われて穀物をその……う~ん。 わかったもういい」
ネズミはピリカにむかって話しかけた。
「あの小屋の鍵は簡単な仕掛けじゃった。 ワシが中から鍵を外す、ピリカがドアを開けて中に入りなさい。 そして子狐が入った金網の箱を開けて逃がしてやるのじゃ。 外であんたら二匹が子供を待ち受け急いで一緒に逃げる。 これでどうじゃ?」
父親キツネが「ネズミさん、ありがとうございます。 私らはネズミさんに何にも恩返しできません。 せめて私達家族は一生涯ネズミを補食しません。 誓います! ありがとうございます」
「まああ、お礼はいいから。人間が来る前に早いこと救出しようや」
そして、救出は無事成功しキツネ親子は羊蹄山の森に帰っていった。
ネズミが「それにしてもピリカさんは不思議な人間じゃのう。 動物と会話できるし人間だからという高ぶりもない。 キツネを助けても何の徳もない、それどころか見つかったらあんたが危害を受ける。 まったく理解できない」
「私、これでいいのだ……」
それから十分ほどしてピリカは集合場所にもどった。
みんなはピリカが熊に出くわしたのでは? 警察に連絡しようか? などなど勝手な憶測をして大騒ぎになっていた。
そこにひょっこりピリカが「みんなどうしたの?」と突然現われたものだからさあ大変! 引率の先生に大目玉を食らうピリカだった。
それから数日後、あのキツネ親子が例の小屋の近くを通った。
母キツネが呟いた「あのネズミさんどうしたかな? 天敵のキツネなんか助けて仲間外れにあってないかしらね?」
父キツネが「そうだよな、ネズミがキツネを助けるなんてありえないよなぁ、いや、あってはならないよな絶対に……」
子供キツネは「そうだよね、すごいネズミさんだね」
すると、少し離れたところに猫に追われて逃げ回るネズミを発見した。
母キツネがその様子を見ていて「お父さん、あのネズミはもしかして……あの時の」
「そうだ間違いない!」
父キツネは一目散に逃げるネズミのあとを追った。 ネズミと猫の間に割り込んで、振り返り猫を威嚇した。
猫が「なんだお前は? そこをどけそいつは俺の獲物だ」
「そうはいかん。このネズミは俺の親友だ」
「なにが親友だ。 お前は馬鹿か? キツネとネズミが親友なんて見たこもないし聞いたこともない。 とっとと、そこをどきな! おまえを引っ掻くよ」
「何だと! キツネに喧嘩売るつもりか? いつでも相手になる……」
「ちぇ!」猫は力量の違いを感じそそくさと退散した。
キツネは「ネズミさん大丈夫だった? 怪我してませんか?」
「いやぁ助かった。 まさかあのキツネさんに助けられるとは、ありがとうございますだ」
「こちらこそ、先日は本当に助かりました」
その後、キツネとネズミの不思議な交流がこの村で始まった。 そんなことが起こってるとは思ってもみないピリカは今日も元気に登校していた。
「お母さん、明日は真狩村で炊事遠足なの、ジンギスカンするからお弁当は要らないけど、おにぎり二つお願い…」
「真狩かい、真狩のどこ行くの?」
「羊蹄山青少年の森だって」
「あの下の方に湧き水が出ている池があるんだ。 なんか凛とした雰囲気の池なんだ。 時間あったらよってごらん」
「へぇ、よってみようかな」
ジンギスカンを食べ終わり、友達のミヨリとふたりで池を見に行くことにした。
「ねぇ、この池なんだけど少し空気観が違わない?」
「そうね、チョット違うかも……なんだろう?」
「あっ! 北キツネ」ミヨリが指をさした。
するとそのキツネが突然「人間はさっさとここから消えろ!」突然二人に向って大きな口を開け威嚇してきた。
「どうしてなの?」ピリカは咄嗟に声を掛けた。
「……なんだおまえは? はやく私の子供を帰せ!」
「えっ、なに? あなたの子供がどうかしたの?」
「お前もあいつらの仲間だろうが、噛み殺してやろうか」
「ねぇ、キツネさんどういう事? 話しを聞かせてくれない」
ピリカの能力を知らないミヨリはその様子を不思議そうに見ていた。
「ミヨリ、チョット危険だから先に戻っていて欲しいの」
「えっ……どうしてよ?」
当然の疑問であった。
「お願い。事情はあとで話すからゴメンね」
「うん、じゃあ先に戻ってるね。 早く来てね」ミヨリは釈然としないまま戻っていった。
狐とふたりになったピリカが「キツネさん、聞かせて…」
「三日前、お前達人間が私の子供を連れさったのさ……」
「どういう事? 子供さん罠でもに掛かったの?」
「そうだ、返してくれ!」威圧的な雰囲気だった。
「今、あなたの子供は何処にいるの?」
「ニジマスを養殖してる家の横だ。 木の納屋の中」
「場所教えてちょうだい、私行くから」
「あんたはあいつらの仲間じゃないのか?」
「同じ人間だけど仲間ではない。 信じて、それに、私はピリカっていうの、ピリカって呼んで」
「わかった。私に付いてきて」
「ついて行くのはいいけど、あなたと違って早く走れないからね」
「人間が遅いのは知ってる、あんたに合わせるよ」
二人は納屋の近くに来た。
「あそこだよ」
その納屋の側には違うキツネが茂みに潜んで様子を伺っていた。
「あのキツネは?」
「あれは私の旦那。 ずっと隙を伺ってる。 あれからずっと食事もしてない」
「じゃあ、三日も食べてないの?」
ピリカは胸が痛くなった。
「私、頑張るからね。 その前に旦那さんに私のこと説明してほしいの」
「わかった。今ここに連れてくるからピリカから説明して」
ピリカの前に二匹のキツネが座った。
「私ピリカ、事情は聞きました。 私にお子さんを助けるお手伝いさせて下さい」
「お前は誰だ? 人間は信用ならん!」
「お父さん、この娘は違うの、チョット聞いて」母キツネは必死に訴えた。
ピリカが口を開いた「ごめんなさい……」
緊張が走った。 父親がピリカをにらんだ。 父狐をじっと見つめるピリカの頬に涙がこぼれていた。 その瞬間、父親の険しい表情が一変した。
「ピリカさん。あなたになにが出来ると?」
「わかりません。 でも、私はネズミさんと会話が出来ます。 まず、中の様子を聞いててみますから、二人はネズミさんが怖がるといけないので少しの時間だけ遠くへ離れていて下さい」
「お父さん、ピリカさんの言う通りにしましょうよ」
二匹はその場から離れた。
「ネズミさん聞こえますか? 誰か応えて下さ~い、ネズミさんお願い」ピリカは声にならない声で叫んだ。
「誰じゃわしらを呼ぶのは?」
ネズミが一匹近寄ってきた。
「あっ、ネズミさんこんにちは」
「なんじゃ、人間か?」
「ネズミさんにお願いがあります」
「なに?」
「あの小屋の中にキツネの子供がいるの、様子を見てきて欲しいの」
「なんでじゃ?」
「三日前に捕獲されたキツネの子供が気になるの」
「あんたになんの関係が?」
「その子の親が心配してるの」
「だから……?」
「だからって、親なら子供の安否は気になるものでしょう?」
「あんた名前は?」
「ピリカです」
「ピリカさん、あんた馬鹿か? わしらネズミ達は猫やキツネ、トンビなどネズミの天敵じゃ。 身内や知り合いの多くは奴らに殺された。 これからも永遠に続くじゃろうて……そんな天敵の助けになることをなんでこのわしが? ふざけるな……話にならん」
よく考えると当然のはなしとピリカは気づき同時に落胆した。
「そうですよね、天敵ですものね……」
でも気を取り直しピリカは「中の様子だけでも何なんとかお願いします」
「あんた、しつこい! わしは行く。じゃあな」
「あの……」
「だからしつこ……」
その瞬間、ピリカは思わず叫んだ。
「穀物を沢山差し上げます。 キツネさんに、もうネズミたちに危害をくわえないよう約束させますからお願いします」
「ネズミだと……キツネはさん付け、わしらネズミは呼び捨てかい」
「いえ、ネズミさんです……すみません」
「穀物かわかった、とりあえず様子だけ見てくるか」そういい残しネズミは小屋に向った。
その頃ミヨリは「ピリカ、どこ行ったんだろう? もうあと片付けも終わりいつ集合の号令が掛かるかわからないのにどうしよう……まったくもう」
ネズミが小屋の中を覗いてみると、ゲージの中で身体を震わせた子キツネを確認した。
「なるほど、あの子のことだな」
ネズミはその様子をピリカに伝えた。
「よかった。 生きてた」
「あのさ、ピリカとやらひとつ聞いていいか?」
「はい、なんですか?」
「キツネのことなのになんであんたがそんなに喜ぶ?」
「キツネでも人間でも親が子を思う気持ちは変わりないと思うの、ネズミさんだって同じでしょ?」
「それはそうだけど、我々はキツネに……」
「ごめんなさい」ピリカは頭を下げた。
「あんたに頭下げられても困る。 わかった。もういいからあの子の親に無事を教えてあげな」
その様子を見ていた親キツネは歩み寄り思わぬ行動に出た。
その頃「あ~どうしようピリカちゃん。 集合の合図鳴ったよ。 どこに行ったの?」
「あと十分でバスは出発しま~す! 生徒は全員バスに戻りなさ~い!」
二匹のキツネはネズミの前に歩み出た。 ネズミは瞬間ピリカの後ろに回り込んだ。
キツネはネズミに「ネズミさん、ありがとうございます」
深々と頭を下げた。 キツネがネズミに頭を下げた前代未聞の瞬間であった。
「イヤ、その……ワシはピリカさんに言われて穀物をその……う~ん。 わかったもういい」
ネズミはピリカにむかって話しかけた。
「あの小屋の鍵は簡単な仕掛けじゃった。 ワシが中から鍵を外す、ピリカがドアを開けて中に入りなさい。 そして子狐が入った金網の箱を開けて逃がしてやるのじゃ。 外であんたら二匹が子供を待ち受け急いで一緒に逃げる。 これでどうじゃ?」
父親キツネが「ネズミさん、ありがとうございます。 私らはネズミさんに何にも恩返しできません。 せめて私達家族は一生涯ネズミを補食しません。 誓います! ありがとうございます」
「まああ、お礼はいいから。人間が来る前に早いこと救出しようや」
そして、救出は無事成功しキツネ親子は羊蹄山の森に帰っていった。
ネズミが「それにしてもピリカさんは不思議な人間じゃのう。 動物と会話できるし人間だからという高ぶりもない。 キツネを助けても何の徳もない、それどころか見つかったらあんたが危害を受ける。 まったく理解できない」
「私、これでいいのだ……」
それから十分ほどしてピリカは集合場所にもどった。
みんなはピリカが熊に出くわしたのでは? 警察に連絡しようか? などなど勝手な憶測をして大騒ぎになっていた。
そこにひょっこりピリカが「みんなどうしたの?」と突然現われたものだからさあ大変! 引率の先生に大目玉を食らうピリカだった。
それから数日後、あのキツネ親子が例の小屋の近くを通った。
母キツネが呟いた「あのネズミさんどうしたかな? 天敵のキツネなんか助けて仲間外れにあってないかしらね?」
父キツネが「そうだよな、ネズミがキツネを助けるなんてありえないよなぁ、いや、あってはならないよな絶対に……」
子供キツネは「そうだよね、すごいネズミさんだね」
すると、少し離れたところに猫に追われて逃げ回るネズミを発見した。
母キツネがその様子を見ていて「お父さん、あのネズミはもしかして……あの時の」
「そうだ間違いない!」
父キツネは一目散に逃げるネズミのあとを追った。 ネズミと猫の間に割り込んで、振り返り猫を威嚇した。
猫が「なんだお前は? そこをどけそいつは俺の獲物だ」
「そうはいかん。このネズミは俺の親友だ」
「なにが親友だ。 お前は馬鹿か? キツネとネズミが親友なんて見たこもないし聞いたこともない。 とっとと、そこをどきな! おまえを引っ掻くよ」
「何だと! キツネに喧嘩売るつもりか? いつでも相手になる……」
「ちぇ!」猫は力量の違いを感じそそくさと退散した。
キツネは「ネズミさん大丈夫だった? 怪我してませんか?」
「いやぁ助かった。 まさかあのキツネさんに助けられるとは、ありがとうございますだ」
「こちらこそ、先日は本当に助かりました」
その後、キツネとネズミの不思議な交流がこの村で始まった。 そんなことが起こってるとは思ってもみないピリカは今日も元気に登校していた。